ガボンでのゴリラエコツアー開発支援とバードウォッチング環境教育開発支援始まります!!2021年9月12日

こんにちは。ガボンのエコツーリズム事業にて現地コーディネーターとして働く予定の今岡爽夏と申します。先日、エコロジックが運営しているグランピング施設にて、エコツーリズムやインタプリテーションの概念を学び、富士宮で実際に行っているエコツアーを体験する渡航前研修に参加させていただきました。

あいにくの雨の日が続きながらも、時より訪れる晴れ間には、「富士山見えるかな?」とわくわくしながら過ごしていました。薄れてきた雲の切れ間から見えた富士山は、思ったより大きく、近く、そのエネルギーに圧倒されました。緑豊かな農村に位置するこのグランピング施設からは、壮大な富士山を目の前に見ることができます。春に一度お邪魔した際はちょうど桜のシーズンで、桜と富士山をゆっくり眺める贅沢な時間を過ごさせてもらいました。自然の中に佇む小さくて静かな宿泊施設だからこそ楽しめる、まさにプライベートな富士山ビューです。こんな素敵な場所で、それぞれ夢を持った素敵なスタッフさんに、研修をしていただきました。

〇観光の持つ危険性と可能性
もともと国際協力の道を目指していた私は、「旅行は異文化理解につながる民間レベルの国際協力だ」と思いの下、旅行業界で経験を積み、いつしか観光を通じた地域貢献、特に途上国の貧困削減に貢献したいという思いを抱くようになりました。もちろん、観光客過多、ごみ問題、大規模開発による景観破壊や環境問題、近代文化流入による伝統文化の喪失など、観光開発には負の側面も存在します。しかし、その土地固有の文化や自然を守り、それを生かして地域経済に貢献することも可能なのが観光の力です。観光業は裾野が広いため、旅行会社や宿泊施設といった旅行業者だけでなく、農林水産業、製造業、教育、スポーツ、地域行政等、色々な産業ともコラボレーションすることで波及効果が生まれます。そして、これを可能にするのがエコツーリズムの考え方であると、今回の研修で学びました。「地域を守ること=観光客を受け入れること」につなげるため、地域が主役となり、自らの地域資源に誇りを持ってその魅力を観光客に伝え、観光客がそのすばらしさを学び、その学びと経験にお金を払う、というしくみがエコツーリズムなんだと思っています。これがまさに、私が目指したい観光のカタチなんだと感じました。

〇メッセージやストーリーを主体とした、地域住民主役のツアーづくり
それを体現した、富士宮でのエコツアーを研修中に体験させてもらいました。見どころを効率的に回るのではなく、伝えたいメッセージをもとに何をどのような順番で見せるか、そのためにどういう話をするのか、といった起承転結なストーリーラインが考え尽くされたツアーでした。「富士山の水」をテーマに組まれた滞在中のツアーは、富士山から流れ出る白糸の滝に始まり、脈々と水路が流れる市内をめぐるバイクツアー、そしてその水でお酒を造る酒蔵見学、さらに食事には地元野菜やお肉のBBQと、富士山の水の恵みを感じて体験できる見事な構成になっていることに感動しました。特に商店街のツアーで感動したのは、地元の人との距離の近さ。富士宮商店街の鍛冶屋さん、呉服屋さん、和菓子屋さんにお邪魔しましたが、実際に地元の人が説明し、地元の人とこれほど近い距離感のツアーは初めてだったかもしれません。自らの文化に対して皆さん誇りを持っており、それを観光客に伝えて楽しんでもらうことに喜びを感じている姿を見て、これを派遣先のガボンで実現させるのが私の仕事だと確信しました。

〇ガボンでのエコツーリズム
ガボンは、国土の8割が森林という緑豊かな西アフリカの国です。石油や鉱物が採れるため、その他アフリカ諸国に比べると裕福ではありますが、都市と農村の格差が大きく、現金収入のない農村では学校や病院に行くことも難しいと聞いています。そんなガボンの森では、他国による生態系(ゴリラ)研究プロジェクトが長年行われていて、村の人々の中にはその研究調査を手伝うことで現金収入を得る人もいるそうです。しかし、「研究は、終わってしまえば村の人たちが仕事を失うため、持続性がない。エコツーリズムであれば、ゴリラを守りながら、村の人たちに持続可能な収入源を提供できる。」という、長年ゴリラ研究に取り組んできたエコロジックスタッフ安藤さんの言葉が印象に残っています。そんな思いから始まったガボンでのエコツーリズム推進事業。ガボンを訪れるのが初めてな私にとってはまだまだ未知数なことばかりですが、地元の魅力を生かした、地元民による素敵なツアーが、ガボンに根付くように努力していきたいと思います。

今岡 爽夏